古典派シンフォニー

百花繚乱

 

ラルテ・デルモンド l’arte del mondo〔世界の芸術〕


 ヴェルナー・エアハルト(Werner Ehrhardt)は、設立当初から20年間にわたりコンチェルト・ケルンを牽引し、このアンサンブルの黄金時代を築いたヴァイオリニストです。

 2004年に彼はコンチェルト・ケルンから独立し、新たにこのラルテ・デルモンドを設立し芸術監督に就任しました。

 オーケストラ名の中の“mondo”をなんと訳すべきか。2012年に来日した時にもオーケストラ名は訳されなかったようで、正式な邦訳名はないようです。「世界」か「宇宙」か「人々」か。エアハルトは音楽的なコスモポリタニズムをめざしているとのことなので、世界と人々に開かれた音楽をとの想いで命名したのでしょう。

 2010年以降、ラルテ・デルモンドはケルン近郊の街レーファークーゼンのバイエル芸術文化レジデンスの常設オーケストラとなり活動が軌道に乗ります。製薬会社のバイエルから演奏会とCD製作に支援を受け、主に啓蒙思想の時代(このアンサンブルの名前はこの時代を意識したものかもしれません)の作品の復活上演に力を注いでいます。近年はソニー/ドイチェ・ハルモニア・ムンディから定期的に新作をリリースしています。

 中でも古典派シンフォニーの世界初録音を多く手がけ、オルドネツ(K.v.Ordonez)、シュペルガー(J.M.Sperger)、シュテルケル(J.F.X.Sterkel)、シュターミツ(C.Stamitz)、アイヒナー(E.Eichner)などの管弦楽曲。そしてN.メユールやJ.ミスリヴェチェクのオペラ、P.アンフォッシのオペラ「偽りの女庭師」、J.M.クラウスのカンタータなどの劇作品、声楽作品の分野でも価値ある仕事をしています。

 演奏は、コンチェルト・ケルン時代のエアハルトと比べると、人目を惹く激しさが若干後退したとはいえ、鋭い語り口は健在で、そこに古典派音楽のもつ普遍性や穏やかさの表現が加えられ、味わいが増しています。好奇心いっぱいのラルテ・デルモンドが、これからさらにどのような古典派作品に生気を吹き込んで我々の前に提示してくれるのか、楽しみでなりません。


【ラルテ・デルモンドの写真】

(2018.2.22)

ラルテ・デルモンドの公式サイト

http://www.lartedelmondo.de


【関連動画】

E.アイヒナー:シンフォニー ニ短調 作品7-4

ラルテ・デルモンド、W.エアハルト(指揮)☆