古典派シンフォニー

百花繚乱

 

ウィーン・アカデミー管弦楽団 Orchester Wiener Akademie〔ヴィーナー・アカデミー〕


 オーストリアの有名な音楽一家出身のマルティン・ハーゼルベック(Martin Haselböck 1954-)により1985年に設立されたオーケストラ。ハーゼルベックは、偉大なオルガニストであり、また現代音楽の作曲家でもあります。

 〈ウィーン・アカデミー管弦楽団〉は、作曲家たちが知っていた「当時の楽器と奏法」を用い世界各地でたゆみなく演奏を繰り広げています。設立以来、積極的にレパートリーを拡充し話題を提供。個性豊かな老舗の演奏団体としてその名が知られています。

 レパートリーは、設立当初こそバロックから古典派をその中心に据えていましたが、近年ではリストからブルックナーにまで領域を広げています。このレパートリーの拡大にはハーゼルベックのオルガン奏者としての視点が反映されていて、彼は熱心に両作曲家のオルガン作品の演奏にも取り組んでいます。

 オーストリアの知られざる作品を優れた演奏で甦らせたいという意図をディスコグラフィからうかがうことができます。シューベルのミサ曲。ウィーンで名を挙げたマウロ・ジュリアーニのギター・コンチェルト。作曲をした歴代ハプスブルク皇帝の作品の紹介。J.J.フックス、フンメルやハイドンの紹介が彼らの重要な仕事となります。

 また特に古典派好きは、モーツァルトの舞曲集、教会ソナタ集、フリーメーソンのための音楽集。キートランペットによるハイドンやフンメルのコンチェルト集、J.G.グラウンの作品集などの珍しい作品たちをライブラリーに加えたいところ。

 古楽器を使用しピリオド・アプローチで楽曲に取り組むと、今までにないこんな耳目に新しい音楽になりますよ、というような古楽アンサンブルが陥りやすい力みがこの団体の演奏にはなく、どちらかというと主張が少し乏しいのでは、と言いたくなるぐらいの自然な音楽づくり。作曲家の声に真摯に耳を傾けようというメンバーの意図が最優先に音楽づくりがなされているためなのでしょう。もちろん古典派演奏の語法は心得られていて、自然なアーティキュレーションとフレージングが、温もりのある音質で奏でられます。

 2014年からのプロジェクト(リ・サウンド・ベートーヴェン)はウィーンを本拠地とするこのオーケストラならではのもので、ピリオド楽器をもって初演時の会場(全てがウィーンにある)で当時の響きを再現しようというもの。7番のシンフォニーが収められたCDには、このシンフォニーの初演当時にいつもセットで演奏されていた〈ウェリントンの勝利 作品91〉と、この曲と関連のあるメルツェルが発明した「自動トランペット」のために書かれたI.プレイエルとJ.L.ドゥシェクの作曲した作品がカップリングされています。初演会場はウィーン大学講堂(現・オーストリア学術アカデミー祝祭ホール)なので、そこでの録音。

 2017年4月にはリ・サウンド・ベートーヴェンの成果を武蔵野市文化会館で披露しています。

【ウィーン・アカデミー管弦楽団の写真】

(2018.3.8改)


ウィーン・アカデミー管弦楽団の公式サイト

http://www.wienerakademie.at/jart/prj3/wak/main.jart?rel=de


【関連動画】

L.v.ベートーヴェン:〈エグモント〉序曲 作品84

ウィーン・アカデミー管弦楽団、マルティン・ハーゼルベック(指揮)☆