古典派シンフォニー

百花繚乱

 

レザグレマン Les Agrémens〔愉悦〕


 レザグレマンはワロン地方(ベルギーのフランス語圏)の都、ナミュールに本拠をおくアンサンブル。ベルギーのフランス語圏出身のバロック音楽のスペシャリストたちが創立メンバーで、彼らとの親密な関わりによりオーケストラが維持されています。

 1991年に「ナミュール室内合唱団」と共演するために器楽のメンバーが集められ、グレトリのオペラがM.ミンコウスキーの指揮のもと録音されたのが、このアンサンブル誕生のきっかけとなり、1995年、正式に「レザグレマン」として発足。「ナミュール室内合唱団」の運営母体が、この地方を代表するに価するバロック・オーケストラの必要性を理解。出資、運営しています。

 レザグレマンは、18世紀末の音楽遺産の栄誉に満ちたレパートリーの復活上演に精力を注いでいて、特にワロン地方出身の作曲家、ゴセック(F.-J.Gossec)とグレトリ(A.-M.Grétry)、そして知られざる作曲家、ピエルタン(D.-P.Pieltain)やグレスニク(A.-F.Gresnick)などの紹介に努めています。また、ハイドンやベートーヴェンなど旧来からのレパートリーにも新しい光をあてています。

「レザグレマン」とは「快楽」という意味で、演奏内容もそのイメージを裏切らない、ポジティブで好感度の高い演奏。聴衆を笑顔にする明るさがあります。“Les Agrémens”は現在、”Les Agréments”と綴ります。あえて旧式の綴りを団体名に使用していることから、むしろ、ここでは音楽用語のアグレマンをイメージしての命名かもしれません。アグレマンは音楽上の装飾に関する語で、自由な装飾、定型化した装飾法の両方の意味があります。即興性のある自由な演奏を目指そうという意図が団体名に込められているのでしょうか。

 活動の中心は、「ナミュール室内合唱団」との共演が多く、上記ワロン出身の二大作曲家の作品に加え、カルダーラ(A.Caldara)やバッハ父子(J.S.Bach, J.Ch.Bach)、シャルパンティエ(M.-A.Charpentier)、トッリ(P.Torri)などの宗教作品を、ヴェルサイユ・バロック音楽センターなどとの協力のもと上演しています。

 2001年からはギ・ファン・ヴァース(Guy van Waas)が音楽監督に就任。さまざまな声楽つき作品に加え、ゴセックやクラウス(J.M.Kraus)、ハイドン(J.Haydn)のシンフォニーやバレエ音楽などの器楽作品の上演、録音に積極的に取り組んでいます。コンサートマスターを務めるヴァイオリン奏者のパトリク・コーエン-アケニーヌ(Patrick Cohen-Akenine) やリナルド・アレッサンドリーニ(Rinaldo Alessandrini)も度々このオーケストラを指揮しています。

 自然な溌剌としたリズム、オリジナル楽器の清涼感のある響きがとても魅力的。ギ・ファン・ヴァースがクラリネット奏者ということもあるのでしょう、管楽器の音色感、バランスがとてもよい。特にホルンは、創立メンバーのワロン人ホルン奏者、クロード・モーリー(Claude Maury)からの伝統が息づいていて、ここに理想的なナチュラルホルンの響きを聴くことができます。

【レザグレマンとナミュール室内合唱団】

(2016.2.9)


レザグレマンの公式サイト

http://cavema.be/fr/agremens


【関連動画】

A.M.G.サッキーニ:オペラ〈ダルダニュス〉序曲

レザグレマン、ギ・ファン・ヴァース(指揮)☆